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【プロ作品展 vol.1 -遊び心-】@TDW2005
ミウラアヤ


「遊び心」。
それはクスリと笑ってしまえる余裕と粋かな・・・と思っていた。しかし、作り手が抱く遊びの「精神」と、作品に現れる遊びの「カタチ」と。私が想像していた「遊び心」の意味よりも色々な解釈があるのだなと今回感じた。
六本木のカラヤン広場にて開催されたプロ作品展公募展のテーマは「遊び心」。しかし、正直なところ具体的な想像も期待もしないでいたのである。遊びを意識した途端に、面白みが失われてしまうことが、まま起こりうるからだ。
そして私は、深呼吸をしながら偉そうに会場へと足を踏み入れた。かくして、のっけから、私の心がくすぐられるとも知らず・・・。

【stand by me】
わかりやすく云うと、自立式雨傘である。そう、そこに、傘が1人で、立っていたのである。傘の先端には、「傘を閉じたときに拡がる、電車の床の水溜まり」のような20cm大の形状の透明なものがくっついており、それが傘の自立を助けている。
コンビニで、お店で、支払いの際に、「どこにでも傘をかける手摺りがあったらなあ」と確かに思うことがある。傘を腕にかけたまま鞄のなかをまさぐるのはキツイなあと、思うときが確かにある。でも・・・だからって。ニヤニヤ緩みそうな頬に力をいれていると、ちょうど雨が降ってきた。
「さ、差したい・・・(そして)畳んで、立てたい」
と本気で強く願った。雨の日が楽しくなって、大人が子どもにかえって人に自慢したくなる「遊び心」だ。

【-印- My chair】
ありえないほどに楽しすぎます、コレ。
「My chair」=「私の椅子」。その主張を私たちは人込みのなかで、どうやって伝えるだろうか。たくさんの椅子を前にして、人はそれをわかってくれるだろうか。
「それ、私の椅子だから坐らないでっ!」なんていうのは、もう心配御無用、無問題!と云っているのがこの椅子である。坐面が印鑑。ただし、素材は象牙ではなく、低反撥のような腰を痛めない程度の硬さのスポンジを使用しているので、動物にも優しい。椅子は西洋文化であり、印鑑は中国を始めとするアジアの文化である。東西文化の融合だわ、とそこまでは瞬時に思わなかったものの、誰かをビックリさせたい「遊び心」いっぱいの椅子の登場に、ニンマリ。しかし、長い時間坐っていて、立ち上がったときに、お尻に自分の名前の跡がくっついていたら面白いなあ・・・と、そんなことばかり想像していたのであった。

【コンシェルジュ】
白ワインのボトルが、一様に黒い蝶ネクタイを首にして並んでいる。それがこの作品である。いや、その蝶ネクタイが作品である。
グラスに注がれる直前にも、最中にもおしゃれをしていたいのはワインボトルとて同じことで、影に日向におもてなしをしますよという「パーティーコンシェルジュ」の精神をワインもお持ちのようなのだ。洒脱という意味において、上級な遊び心である。デザインはもちろんだが、純粋に「こんなのあったら楽しいでしょ」の世界。それもお洒落である。しかし、挑戦状を渡されたような気分になったのも束の間、その10本のワインボトルが開栓されていないことに気がついた。私だったら、「注がれる直前のワインです」などと註釈をつけてコルクを抜き、全部中身を飲んでから代わりに水を・・・。

私はデザインやそれらコンセプトについて、多くを語れるほどには知識も情報も経験も少ない。専門知識を持った人々が寄ってきて「これ、どうやって作ってるんだ?」という興味の持ち方をする作品を見ても、「へえ、そんなすごいものなんだ」としか云えない。その代わりに、純粋に感覚だけで作品に接することはできる。誰が、どんな目的で使うのかによって、見せ方もデザインもカタチそのものも異なってくるだろう。しかし、「かっこいい」「面白い」「使いやすそう」など入り口の感覚は違っても、最終的にそれを「欲しい」と感じるかどうかのゴールは一緒だと思うのだ。もちろん、今回のプロ展でも、紹介した3点以外にも面白くて、いいかも・・・という作品はあったのだけれど。
今回のテーマで作りだされた作品が、どんどん商品化されていく環境になれば、より面白い発想が世界中を巡っていくだろうかと想像して、楽しくなる。上質で粋な「遊び心」を。






   
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