融通

2008/10/20
今、上海にいる。
CHINA FASHON FORUMの講演のために来ている。
僕の講演のテーマは「デザインとブランドと産業」なのでKの話をした。好評だった。今日はホッとして後は展示会をみてパーティーに出席すれば仕事は終わりである。




世紀公園の湖面に浮かぶ高層ビル
このところ東京でも雨さえ降らなければ毎日、歩いている。家だと恵比寿ガーデンプレースを3回りすると丁度、40分になる。上海では昨日も今日も朝、早足で歩いたのだが今日は昨日歩いていて発見した「世紀公園」を歩くことにした。地図では相当に大きい。大きな池があってその向こうにいかにも中国・・という建築群が林立している。
当然、無料だと思っていたのに入り口までたどり着いたら早朝なのに切符売場が開いている。まずい!と思ったのだがホテルまで帰る気にはならない・・・。お金持っていないんだ・・・入れてよ・・・とジェスチャーでいったのだがそこは中国。入場料も払えないのだからリベートは取れない・・・手振りで「入れ!」とさすがに融通の利く態度に納得だった。この「融通」という奴、今は日本では官僚化がすすんで(自分には融通が利くのに・・・)市民には融通が利かない。飛行機会社も同じ。飛行機の出口で降りる準備して立ったまま携帯電話をオンにしても厳しい態度で・・・犯罪者を見付けたかのように注意する。美しい顔が見苦しくなる。もちろん「降りてからオンにしてください」とあくまでも指導しながらそんなときは「融通」を利かせたらどうなんだろう・・・と思う。

その融通が中国にはいっぱいある。
路上はまるで自分たちが自転車でも運転しているかのように自動車を運転する。車線変更はやたらするしクラクションは鳴らす。赤でも右折できるから歩行者の信号が青でもうかうか出来ない。交通を支配しているのは「融通」というルールである。
このすぐれた発想が同時に賄賂を発生させる。自分のために融通を利かすとやっかいなことになる。先日、上海と紹興に来たとき聞いた話なのだが、つい最近警察の評判の部長が死刑にされたそうである。警察関係の施設の工事業者の選定に関わって賄賂を数億円貯めていたそうである。可笑しいのは発覚のストーリーだ。
ある時、マンションの住民が上の階から水が漏れてくるので管理人と誰もいない上階の住戸に入ったのだそうだ。バスルームが水浸しで原因は分かったのだがバスルームに山積みされていた段ボール箱を乾いたところに移動しようとしたところ段ボールの底が抜けて現金の束が無数に散らばったのだそうである。

中国には誰も住まない家がいっぱいある。みんな投資の対象として購入した家なのだがだから誰も住んでいない。ひどい場合には上海近郊のイギリス調の何万戸ある街が一つ丸ごと無人だったりする。きっと今頃値下がりで大騒ぎしているだろう・・・。地方のお金持ちがこういった不動産を購入するらしい。

そんなわけで無人の家に管理人が入ったのである。持ち主はその警察部長の妻だったそうである。
評判の警察部長は賄賂がこんな馬鹿げた出来事で発覚してついに死刑となったのだ。

人間社会はルールが必要なのだがそれを運用するのに臨機応変に融通を利かせるのでないとギクシャクした社会になる。
人のためには融通を利かせて、自分のためにはちゃんとルールを守るという姿勢でいることでちょっとしたルール違反が許されて住み心地のいい社会ができるのだが・・と思う。

明日、帰国する。帰ってからが大変である。Kの新作発表会が始まる。
(2008、10、20)