生を噛みしめる

2008/11/05
死んだら消えるんだ。消えるだけなんだな。
本人は消えたことを知らない。世の中も消えたからってなにも変わらない。大切なのはいま生きているこの瞬間の生き様だけだ。どう生きているかだけが問題なんだ。


兄はどうやら自分の死期を知っていたらしい。癌だったから普通は病院に入って治療をするのだけれどその様子がない。抗ガン剤なら髪だって抜けるしそのせいでいろいろな辛いことが起こる。副作用だ。

彼は疲れると病院で点滴をしていたそうだ。そして、自分の部屋の床は爪の跡でずたずただったらしい。苦しむ姿を見せないためにホテルの部屋を取っていた。

兄はきっと自分の生をしっかりと見つめていたんだろう。痛さや辛さを味わいながら生を噛みしめていたんだろう。命を長らえようとはせずに癌にむしばまれながら生を直視していたんだろう。

その瞬間をどういきるかだけが重要なのだ。近頃それがよく分かる。
無為に生きることだけは止めよう。いまの瞬間をしっかり噛みしめて生きたい。
(2008,11,4)

※写真はK-STUDIOの片隅、僕の仕事の現場である。