お金とおんな

2008/11/27
お金とは不思議な生き物である。かつて、あまりにも貧乏でついに友人が君はお金に好かれていないんだよ、と言い出したことがある。彼に言わせれば金を愛さないから金だって君を好かないんだ・・・と。
その友人はもうリタイヤして芦屋に悠々と住んでいるがどの程度のお金持ちになったであろう。


そんなことがあって、僕はお金を愛することは出来ないけれど好きになるぐらいにはなろうと思った。そして、一度だけ、お金の方を向いてお金が増えるように目指したことがある。結果は数十万円の損をして終わりになった。
そんなこんなで29才の終わりに建築事務所を設立して7年間、ほんとに貧乏だった。何度となく僕の大切なニコンは質屋にも入ったし、いつも月末には金繰りが悪くなる。そしてその度に、芦屋の友人は僕に50万円単位でお金を貸してくれたものだ。そして又借りるためにできるだけ直ぐに返していた。
そんな7年間にはあの天才的インテリアデザイナーの倉俣史朗さんの借金の保証人だってやっている。当時、二人でお互いに借金の保証人をしあったのだから面白い。それが許されたのだ。
お金の方を向いて口説こうとしたあのたった1回の間違いの後にはずっと金策こそするけれどお金に媚びを売ったことがない。
今、その貧乏からは脱して、何となく生きられるようになって、確信に近い思いは「金は追いかけると逃げる」ということである。「金はしっかりと自分の信じる道を真剣に歩んでいれば付いてくる」という確信である。
近頃はちょっと面白くするためにこういっている。これってもう一つの真実である。「金と女は追いかけると逃げる、ちゃんと人生をすごしていれば付いてくる」と。そして、一息おいてこう付け加える。「だけどね、時々振り返っていないとだめだよ」、「君のこと結構関心あるんだ・・・」と信号を送っておかないと振り返ったらお金も女も誰もいない・・ということになるよ・・・と。
要するに愛することはやさしいけれど愛されることは至難の業なのだ。愛されるためには自分の人生をちゃんとしなくてはならない。こういいたいのである。
(2008,11,26)

*写真は「残照」と「鳩のかたちをした空」。いずれも「隙間」と「影」が主役になっている。