Yasuko's Room
元アクシス編集長関康子のデザイン寄稿
「フランス建築からデザインのDNAを考える」 関康子
2004/01/30

ル・トロネ修道院外観
教会部分
回廊部分
そして、かつてラ・トゥーレット修道院の設計を任されたル・コルビュジエもこの修道院を訪れたそうです。ル・トロネ修道院はプロヴァンス産の赤みがかった粗い石を、ラ・トゥーレットは粗いコンクリートと、それぞれ時代に沿った異なる材料を使いながら、素材のもつ圧倒的な重量感、純粋形態がもたらす力強さ、そして光と影がもたらす陰翳、そして静けさ……。ここに時代や様式を超えて生き続ける空間デザインの遺伝子を感じてしまうのは、私だけではないでしょう。そしてこの系譜は「光の教会」など、常に建築の光と影を追い求めている安藤忠雄さんの建築までに及んでいるのではないでしょか。
……とは言え、今やプロバンスの三姉妹(セナンク修道院、シルヴァカンヌ修道院)と称えられ、この地方の一大観光スポットとなったル・トロネ修道院で静寂を得るためには、相当強い意思とイマジネーションを必要とします。たまたま訪れた日が日曜であったのがまずかったのかもしれません。次に訪れることがあれば、普通の日、冬あたりが良いかも。
建築は時間によってその表情を変えるもの。駆け足ではなく、最低1日は時間を取る――本当はそんな訪問が理想的なのだと痛感した旅でした。




