Yasuko's Room
元アクシス編集長関康子のデザイン寄稿

妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭を訪ねて No.2
「気づきの触発」 by 関 康子

2009/09/15
 「当たり前の再発見」「気づきの触発」「向こう側への思い」。妻有アートトリエンナーレを訪ねて感じたことの第一は、これだった。
▲「BankART妻有」は山代・桐山地区の廃屋
  を舞台に複数の作家が建物の再生に挑戦 
 2006年度の作品の中に「たくさんの失われた窓のために」(内海昭子作)という巨大な窓枠のようなオブジェがある。風にたなびく半透明のカーテンがかけられたフレームを通して見られる里山の景色は、巨大な風景画と変貌し、大地の美しさを際立たせる。これは、当たり前に存在する風景の再発見に他ならない。
 
 新潟中越地震、あるいは豪雪のためなのか、壁が傾き、床が軋む農家。もはや住人を失った廃屋でも、アートが持ち込まれることによって、かつての人々の営みの存在に想いを巡らせ、豪雪地帯ならではの暮らしの知恵を気づかせてくれる。そして、無意識に都会の便利で快適な生活と、辛抱のいる慎ましい北国の暮らしぶりを比べて、自分にはとうていここで生活することは無理だなあ、などと考えてしまう。けれど、夏の間だけ百日草やカンナといった懐かしい花々が咲き乱れる華やかな農家の庭先を歩くとき、ここで暮らす人たちの並々ならぬ「生」への執着を感じ、なぜか心が和んでくる。









▲「いけばなの家」は山代・蓬平地区の廃屋を
  舞台に複数の作家が「いけばな」作品を展開
 妻有アートトリエンナーレでは、ミュージアムのフラットな空間では体感できない、多様で重層的な見えない言葉が発信されている。


           Written by 関 康子